ドッグフードだけで栄養は完璧?総合栄養食とは
ドッグフードを選ぶとき栄養バランスが整っていることも大切な条件の1つです。でも原材料表示を見ても素人目にはなかなか栄養バランスの見極めはできません。そこで目安となるのが総合栄養食という記載があるかどうかです。今回はドッグフードの栄養バランスを見極めるキーワードに注目してみましょう。
ドッグフード用語「総合栄養食」とは?
総合栄養食は犬が必要とする栄養基準を満たしているドッグフードにのみ記載が許されている品質基準の用語です。
この言葉はアメリカの民間団体AAFCOがドッグフードの品質向上を目指し1993年に制定しました。
それまでのドッグフードは製品によって成分や栄養素のバラツキがあり、中にはドッグフードとして売られているにもかかわらず犬の必須栄養量に程遠い粗悪な製品もたくさんありました。そこで犬猫それぞれの年齢に応じた栄養素や栄養量を数値化し、すべての数値をクリアすべき基準を設けたのです。
その後世界中にこの数値基準が広まり、ドッグフードメーカーが製品開発の目安としたことで各段にドッグフードの品質が向上しました。
総合栄養食と書かれているドッグフードはパッケージはもちろんHPなどでその旨を記載しています。
ドッグフードを選ぶとき、この文字が書かれているかどうかもキチンと確認しましょう。
すべてのドッグフードが総合栄養食ではありません
実は販売されているドッグフードのすべてが総合栄養食の基準を満たしているわけではありません。
総合栄養食の数値基準は犬がその製品と水だけで1日に必要な栄養量を摂取出来ることが条件です。つまりドッグフード単品だけではすべての栄養をバランスよく摂取できない場合、どんなに高品質なドッグフードでも総合栄養食と名乗ることはできません。
同様にドッグフードとして販売されていても、肉や魚を一切配合せずにトウモロコシや大豆といった穀類で代用している製品の場合、犬の必須栄養素が不足しているので総合栄養食と記載することはできません。
総合栄養食と書かれていないドッグフードが一律で粗悪品という訳ではありませんから、あくまでも目安の1つと考え、きちんと原材料表示を確認しましょう。
あえて総合栄養食と名乗らない独自のスタイルも増加
AAFCOの定める総合栄養食の基準値では成犬に必要なタンパク質量は18%とされています。でもこの数値にはからくりがあり、AAFCOではタンパク質は動物性に限定されていません。つまり大豆などの植物性タンパク質のみであっても18%という基準を満たせばよいと解釈できます。
肉や魚に比べ大豆など植物性タンパク質の方が安価に入手できることから、総合栄養食と名乗るドッグフードの中には植物性タンパク質を多量に配合した製品もあります。
このようなカラクリを悪用したドッグフードと差別化するために、あえてAAFCOの栄養基準を用いずに独自の栄養バランスやレシピで高品質なドッグフードを作りだすメーカーが世界中で増えてきています。
日本で発売されている輸入ブランドの中には動物性タンパク質の含有量が60%や80%、90%という製品もあります。
これらの製品はAAFCOの栄養基準を大きく上回っているので、あえて総合栄養食を名乗ってはいません。
ドッグフードの栄養基準の品質は世界中で研究が進み、高品質化と共に複雑化が進んでいます。愛犬の健康を考えBESTなドッグフードを選ぶためには、1つのキーワードを無条件で信用せずに様々な視点で総合的に判断をしましょう。